🧬 社会的孤立のGWAS研究
日本人約6万人を対象にゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施し、社会的孤立に関連する2つの有意な遺伝子座を同定しました。また、「家族とのつながりの乏しさ」と「友人とのつながりの乏しさ」では、それぞれ異なる遺伝的背景が示唆されました。さらに、LDSC法による推定から、本形質の遺伝率は約4%と限定的であることが明らかになりました。
本研究は、現代社会に広がる社会的孤立を遺伝学的観点から捉え直すことを目的としたものです。定義自体が曖昧で多面的なこのテーマに対し、社会疫学分野の知見を取り入れながら、自身の専門である遺伝解析の枠組みでアプローチしました。多くの共著者の先生方の支援のもとで研究を進めることができ、この場を借りて深く感謝申し上げます。
また、人生で初めてプレスリリースを経験し、ニュース記事やブログ記事として研究が取り上げられたことは大きな喜びでした。一方で、「遺伝解析」という言葉が、社会的孤立を決定論的に説明してしまう印象を与えるのではないかという懸念もあり、広報においては遺伝率が限定的である点を強調するよう心がけました。しかし、様々な意見に触れる中で、「体質的に社会的孤立になりやすい側面があるかもしれない」といった生物学的な理解が支えになり得る可能性についても考えさせられました。
ただし、本研究の結果はあくまで集団レベルの解析に基づくものであり、個々人の状況を特定の遺伝子や親からの遺伝として説明することはできません。本研究は人類遺伝学と社会疫学の交差点に位置するものであり、直接的な公衆衛生介入を志向するというよりも、ヒトの表現型を形づくる遺伝の関与を再考する契機としての意義を持つものと考えています。
本研究をきっかけに、私たちのさまざまな側面において、遺伝がどのように関わっているのかについて思いを巡らせていただければ幸いです。