■生まれてくる子どもが、生涯健康でいるために
「ヒトの健康は、胎児期や生後早期の環境の影響を強く受けて決定される」というDOHaD仮説 (Developmental Origins of Health and Disease)に基づき、妊婦さんと胎児を中心としたコホート研究※1を行っています。特に妊娠高血圧症候群※2は、生まれてくるお子さんや産後のお母さんの健康に長期にわたって影響を及ぼすことが分かっているため、危険因子の探索や発症予測モデルの開発など、多岐にわたるアプローチで研究を進めています。
※1病気の発症要因や予防因子を推定するために、大勢の人を長期間観察する研究手法
※2妊娠中に起こる高血圧症疾患群の総称で妊婦全体の7~10%が発症
■疾患の成り立ちを、遺伝から解き明かす
同じ環境で暮らしている人でも、必ずしも同じ疾患を発症するとは限りません。これは、遺伝的要因※1と環境要因※2の二つが相互に働きあうことで、疾患は発症するためです。疾患の発症に影響を与える遺伝的要因を明らかにすることにより、分子メカニズムに基づいた創薬や体質に合わせた個別化医療が実現可能です。ゲノムワイド関連解析※3やポリジェニックリスクスコア※4などの技術を用いて、疾患の成り立ちを解き明かしています。
※1親から子へと伝わる要素や特性。主に遺伝子に含まれる情報によって決定される

自己紹介
現代では、子供からお年寄りまで、多様な環境の中で暮らしながら、さまざまな疾患を経験しています。このように人生を通して見ると、人体とそれを取り巻く社会や環境の間には複雑な相互作用が存在することがわかります。この複雑な関係を精密に解き明かすことで、健康的な生活習慣や分子・細胞の機能を明らかにすることができます。私は、諸科学の現象を医学というレンズを通してみつめ、健康にどのような影響があるのかを明らかにすることを目指します。